初めてのペーパー

初めて書いたペーパー(小論文)は、忘れもしない人種差別についてだった。博士論文を執筆中の講師が教えるSociologyのクラスでの最初の課題だった。

アメリカの大学はどんなところか知らずに通い出した私は、ペーパーをどうやって書くのかもわからず、途方にくれていた。

そんな私の心中を察したのかどうかわからないけど、締め切りの二日前の授業中に一人の私より年上(だと思う)のブロンドの女性が小声で話しかけてくれた。

“もう、ペーパー書き終わった?”
“まだ。あなた(名前を忘れてしまった)は?”
“私もまだ。もし良かったら、うちに来て一緒に書かない?”
本当? 彼女が天使に見えた。

私は彼女の言葉に甘え、その日の内に彼女が1人で暮らしているアパートにお邪魔し、ダイニングテーブルで朝方までかかってペーパーを書いた(ちなみに、私の娘は元旦那の母に預かってもらっていた)。よく知らない人のお住まいに押しかけるなんて、すごく図々しいし、ちょっとコワい。でも、私は切羽詰まっていた。でも、よく考えれば、彼女はすごい。よく赤の他人に自宅を開放してくれるなんて。

当時はラップトップなど持っていなかったので、手書きでうーんうーんと唸りながら、辞書を引き引き原稿を書いた(後で、コンピューターで清書したけどね)。彼女はその手書きのペーパーの文法までチェックしてくれた。

そのおかげもあってか、最初に書いたパーパーはなんとA だった。涙が出るほど嬉しかった。これで少し、アメリカ人に交じってやっていけるかな、と思えるようになった。

その学期の後、彼女は辞めてしまったのかキャンパスで見かけなくなってしまい、連絡も途切れてしまった。
この場を借りて、念を飛ばします。○○さん、ありがとー!名前忘れちゃってごめんなさい。

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